うなぎの美味しさは、タレの美味しさでも決まります。そのタレの美味しさは継ぎ足しによって生まれるコクと旨味ですが、一体どこから生まれるのでしょうか。うなぎのタレの旨味について科学的にも紹介します。
継ぎ足しによって生まれる深いコクと旨味
うなぎのタレはよく継ぎ足し継ぎ足しで作られると言われます。継ぎ足しによってどのような美味しさが生まれるのかを詳しく見ていきます。
継ぎ足しによって生まれる深いコクと旨味
うなぎのタレは、継ぎ足すことによって、焼くたびにうなぎから溶け出す脂や旨味(アミノ酸など)が足されます。蒲焼きにする際のうなぎの脂やその旨味がタレに溶け込み、うなぎの脂とエキスが溶け込んだタレとなるのです。
そのため、複雑で濃厚なコクと風味を生み出すことができます。
老舗うなぎ店が継ぎ足しを守る理由
うなぎのタレは、新しいタレを作りますが、それを継ぎ足しながら使うことで、長年の旨味が凝縮されます。老舗のうなぎ店では、継ぎ足したタレを使っていますが、継ぎ足すことで深いコクが生まれるため、継ぎ足しを行っています。創業以来の風味、旨味を引き継いでいるのが理由です。
長く変わらない味を保つことができる点もメリットです。
地域や店舗ごとに異なる継ぎ足し文化
うなぎのタレは、地域や店舗によっても味が異なり、関東では、醤油ベースで、甘さを抑えたキリッとした辛口が伝統です。関西・名古屋では、醤油の風味を活かしつつ、関東に比べて甘辛くてコクのある味わいが特徴となっています。
福岡・博多の場合は、明治からの創業150年以上の老舗では創業から継ぎ足され、濃厚な甘みと旨味が特徴です。継ぎ足し文化が長く守られています。

うなぎのタレはなぜ継ぎ足しても腐らないのか?
このようにうなぎのタレは継ぎ足しで作られることが多いのですが、なぜ継ぎ足しでも腐らないのかは不思議ではないでしょうか。その理由についても解説します。
砂糖と醤油による保存性の高さ
うなぎのタレの深いコクと旨味は、甘辛い醤油・みりんの糖分・塩分によるものです。継ぎ足しでも腐らない理由は、高い糖分・塩分濃度による殺菌効果と、タレを定期的かつ焼成時に加熱殺菌(60℃以上)することによって、菌を繁殖しにくくしているためです。
継ぎ足しながら加熱殺菌を繰り返して保存性を高めています。
加熱と焼き工程が安全性を高める理由
加熱と焼き工程がうなぎのタレの安全性を高める理由としては、煙の成分(フェノール成分)もいい効果となっています。タレを焼く際に発生する香ばしい煙がタレに沈着し、燻製のような風味と抗酸化作用をもたらすことも安全な理由の一つです。
腐敗を防ぐための衛生管理と注意点
また、継ぎ足したタレの腐敗を防ぐためには衛生管理も大切です。
清潔な容器で管理することも必要です。容器は毎日洗浄・殺菌を行い、異物の混入を防ぐ密閉容器を使います。
また、冷蔵保存をし、風味低下や腐敗のリスクを減らすことが大切です。
注意点としては、タレの中の異物(うなぎのカスなど)を取り除き、新しいタレを常に適量継ぎ足すことも必要と言えます。
うなぎのタレは継ぎ足しで入れ替わるのか?科学的な考え方
うなぎのタレの継ぎ足しについて、科学的にどのように考えられているのかも最後に紹介します。タレ継ぎ足しによって実際にどのようにタレが変わっているのか、科学的な考え方についても参考にしてください。
継ぎ足し続けても成分は徐々に入れ替わる
タレ継ぎ足しを続けても新しいタレが加えられるたびに、成分は徐々に入れ替わっていると言われています。数ヶ月(約1〜2ヶ月)で中身がほとんど新しいものに入れ替わることも多くなっています。
味が循環していると言えます。
継ぎ足しによる“熟成”のメカニズム
中身が入れ替わりつつも、古いタレの風味がコクや旨味として残ることで、熟成のメカニズムができていると言えるでしょう。素材の旨味成分が蓄積され、アミノ酸の量が増えることで、より深い旨味とコクが生まれています。
継ぎ足すことで、新しいタレにも店の伝統的な味が引き継がれていくメカニズムとなっています。
現代の飲食店に適した継ぎ足しの考え方
現在では衛生管理や効率化を重視する店舗も増えており、従来のように完全な継ぎ足しだけに頼る運営が難しくなってきています。特に多店舗展開や人材不足の課題を抱える飲食店では、味の再現性と安全性の両立が重要です。そのため、OEM製造や業務用タレを活用し、秘伝の味をベースにした専用タレを開発する方法も広がっています。
この方法であれば、味のブレを防ぎながら衛生管理の負担を軽減でき、仕込み時間の削減や人件費の抑制にもつながります。また、継ぎ足しの考え方を応用し、定期的に新しいタレを補充しながら味を管理することで、伝統と現代の運営を両立することが可能です。長く愛される味を守りながら、安定供給と効率化を実現することが、これからの飲食店に求められる継ぎ足し文化と言えるでしょう。
まとめ
うなぎのタレの継ぎ足しは、うなぎの脂や旨味成分が蓄積されることで、深いコクと風味を生み出す伝統的な技法です。一方で、糖分や塩分、加熱工程による保存性の高さや、衛生管理によって安全性が保たれている点も重要なポイントです。さらに科学的には成分が循環しながら熟成していく仕組みがあり、現代ではOEMや業務用タレを活用することで、伝統の味と効率的な運営を両立する方法も注目されています。飲食店にとっては、味の再現性と安全性を意識した継ぎ足しの考え方が、長く支持される店づくりにつながると言えるでしょう。



