そばつゆの基本となるかえしが酸っぱくなるのはなぜでしょうか?今回はかえしについて解説した上で、かえしの酸味の原因と防ぐコツについて紹介します。かえしの酸味を活かしたレシピも紹介するので参考にしてみてください。
そばつゆの基本となるかえしとは?
そばつゆの基本となるかえしとはどのようなものなのでしょうか。ここでは、かえしの材料と作り方、かえしの保存方法を紹介します。
かえしの作り方
かえしは醤油・砂糖・本みりんで作るのが基本です。かえしには「本かえし」「生かえし」「半生かえし」と3つの種類がありますが、作り方に違いがあり、それぞれ特徴も異なります。
「本かえし」は加熱した醤油に砂糖と本みりんを加えて作られます。醤油を加熱する分、角がとれてまろやかな口当たりになるのが特徴です。
一方、「生かえし」は水で煮溶かした砂糖に醤油と本みりんを加えて作られます。醤油は加熱しないため、醤油の味や香りが強く感じられます。
「半生かえし」は少量の醤油を加熱し、砂糖を煮溶かした後に残りの醤油と本みりんを加えて作られます。醤油の味や香りが感じられつつも、まろやかさがあるのが特徴です。
尚、かえしの材料の比率は「一斗(18L):砂糖 一貫(3.5kg):本みりん 一升(1.8L)」と覚えておきましょう。
かえしの保存方法
作ったかえしは冷蔵庫で保存しましょう。作った後すぐに食べられますが、1~2週間冷蔵庫で保管して熟成させると、より角がとれてまろやかになります。保存期間は1か月が目安です。1か月を過ぎると風味が落ちてきますので、保存期間内に食べ切るようにしましょう。
かえしの酸味を防ぐ方法は?
作ったかえしが酸っぱくなってしまうことがあります。なぜ酸味がでてしまうのでしょうか。ここでは、かえしに酸味がでる理由と酸味を防ぐコツを紹介します。
かえしに酸味がでる理由
かえしの酸味は乳酸発酵によるものです。乳酸発酵とは微生物によって糖が分解され、乳酸を生成する現象のことで、ヨーグルトや漬物などの発酵食品はこの乳酸発酵によって作られます。ヨーグルトなどの発酵食品に酸味があるのは、生成された乳酸によるものです。かえしもこの乳酸発酵が進むことにより酸味がでてくる場合があります。
かえしの酸味を防ぐコツ
かえしの酸味は作り方や保存方法に気を付ければ防げる場合もあります。ここではかえしの酸味を防ぐコツを4つ紹介します。
醤油や本みりんは新鮮なものをつかう
かえしの材料となる醤油や本みりんは新鮮なものを使用しましょう。醤油や本みりんは時間の経過に伴い鮮度が落ち、酸味が出てくる場合があります。なるべく開栓したばかりのものや保存状態の良い醤油や本みりんを使うようにしてください。
だしをとる際は煮詰めずに
かえしと合わせるだしの取り方によっても味に酸味や渋みがでてしまいますので丁寧にとるようにしてください。
かつおだしをとる際は沸騰したお湯に水をさして沸騰を抑えた中にかつお節をいれ、すぐに火をとめてかつお節が沈むのを待ちます。
その後、だしをこす際にはかつお節を絞らないようにしてください。絞ってしまうと味に影響が出てしまいます。
弱火でじっくり煮詰める
乳酸発酵の要因となる微生物は熱に弱いため、50〜60℃で死滅します。弱火でじっくり煮詰めて微生物の活動を抑制させることで、かえしが酸っぱくなるのを防げるでしょう。但し、沸騰させるとかえしの香りや風味が飛んでしまうため、温度が高くなり過ぎないように注意してください。
保存方法に注意する
乳酸発酵を促進させる微生物は40℃くらいで活動が活発になります。日当たりの良い部屋や高温の場所に置いておくと乳酸発酵が促進する原因になるので、必ず冷蔵庫で保存するようにしてください。また、保存の際は充分に消毒した清潔な容器などで保存するようにしましょう。
だしと合わせるときは温めすぎない
かえしに合わせるだしが酸味の原因になる場合があります。だしに使用する鰹節には酸味の成分が含まれているため、出汁をとる時に煮だし過ぎると酸味が強くなります。だしと合わせるときも温めすぎると水分が蒸発し、酸味を強く感じる場合もあるので温めすぎには注意しましょう。
但し、鰹節に使用する鰹に乳酸が多く溜まっている場合、鰹節自体の酸味が強くなる場合があるようです。
カツオは釣られた際に暴れるので体内に乳酸がたまるという研究があるようです。
そのような鰹節でだしを取った場合、煮だし過ぎなどに注意しても酸っぱくなることがあります。
かえしの酸味を活かしたレシピを紹介!
かえしの酸味は注意すれば防止することもできますが、酸味が出ても料理に使用できます。酸味を活かすことで料理の幅も広がるので、ここで紹介するレシピを参考にしてみてください。
和風ドレッシング
和風ドレッシングを作る際の基本的な調味料は醤油・砂糖・酢・油です。酸味のあるかえしは醤油と砂糖、酢の代わりになるので、油を加えれば和風ドレッシングを作れます。油の量はかえしと同量〜2倍程度使用し、かえしに油を少しずつ加えながらよく混ぜて乳化させます。油はサラダ油やオリーブオイル、ごま油などお好みのものを使用してください。
酢豚風炒め
かえしの酸味を活かして、さっぱりした炒め物に使用するのもおすすめです。炒めた豚肉と野菜にかえしとケチャップを加え、水溶き片栗粉を加えれば酢豚風に仕上がります。かえしを使用すれば色々な調味料を準備する手間が省けるのでとても便利です。
和風ピクルス
かえしの酸味と米酢の相乗効果でうまみのあるピクルスを作ることができます。
お好みの野菜(きゅうり・人参・大根など)をかえしと米酢を同量で加えた中に昆布をいれたピクルス液の中に漬け込んで一晩冷蔵庫に寝かせたら完成です。
かえしの酸味と上手に付き合おう!
かえしの酸味は乳酸発酵によるもので、注意すれば防ぐことができます。但し、乳酸発酵により酸味が出たかえしも食べられるので、酸味を活かした料理も楽しんでみてください。また、かえしとだしを合わせた商品を使用するのも、作る手間が省けて便利です。
麺素では飲食店様のご意向に合わせたオリジナルPB商品やOEM製造のご提案もできますので、お気軽にご相談ください。
工夫しながらかえしの酸味と上手に付き合いましょう。